治療の完成度
- 埋伏歯(はえてこない永久歯)や過剰歯の長さ、位置、方向、大きさ。
- 歯根の形(直角に湾曲していることも)、長さ、位置、方向
- 歯槽骨の量(幅、高さ、厚み、)、皮質骨の厚み。
- 歯槽骨からの歯根露出
- オトガイ孔や下歯槽管の位置
- 隣接面のむし歯。特に下顎の第二大臼歯は、埋伏している第三大臼歯(親知らず)が接する歯肉縁下に大きなむし歯ができていることがあります。この場合、親知らずを抜歯してはいけません。
- 根尖病変。デンタル、パノラマでは確認できない3次元的な位置、大きさ、原因歯の特定。
- 嚢胞や腫瘍
- 顎関節
治療の完成度
矯正治療が終わって歯並びがきれいになったときに、患者さんに喜んでいただくことはもちろんですが、より信頼される医院となることを心がけています。常に新しい知識、技術の吸収に努め、エビデンスがある安心安全な標準治療をベースにして、完成度の高い治療を目指しています。
そのために当院ではいろいろな工夫をしています。
相談時には、まず患者さんの主訴(特に気になっていること)と希望を聞きます。また、口の中の写真を撮影し、現状と予想される治療内容の説明を行います。
検査診断を経て、歯並びの特徴、問題点をピックアップし、最適な治療計画、治療目標を立案し、それに適した装置を決定します。インフォームドコンセントの確認を行い治療開始です。
治療途中でも、定期的に口の中の写真やレントゲン写真、歯型などを取って治療経過の説明を行います。最終的に、気になることがないか確認してから矯正器具をはずすようにしています。
マルチブラケット法
当院では、表側、裏側の装置両方とも、ストレートブラケットを主に使用しています。メインワイヤーがまっすぐになると歯がきれいに並ぶように、ワイヤーを通す溝(ブラケットスロット)の角度がそれぞれの歯ごとに設計されています。
ブラケットは歯に接着剤で固定するのですが、位置、方向がとても重要です。あらかじめ、歯型でシミュレーションを行い正確な位置に接着しています。
接着剤は、最も接着力の強い「スーパーボンド」を使用しています。歯にやさしいプライマーとフッ素配合のポリマーを使用して、むし歯予防を心がけています。
マルチブラケット法で用いるワイヤーには、主に2種類あります。ニッケルチタンワイヤーに代表される形状記憶のタイプとステンレススチールなどの曲げられるタイプです。超弾性型ニッケルチタンワイヤーによる弱く持続的な矯正力と、ステンレススチールワイヤーなどの硬く剛性の高いワイヤーを使い分けることによって、痛みの軽減と正確な歯の移動を行っています。超弾性型ニッケルチタンワイヤーは形状記憶特性を有しているので、普通に曲げることは難しいのですが、当院では専用の機械(ヒートベンダー、通電熱処理器)を使用しているので、正確なワイヤーベンディングが可能となっています。
ストレートブラケットを用いたストレートワイヤー法は、既成のブラケットに既成のアーチワイヤーを通すことによって、ほとんど曲げることなく歯並びをきれいにすることができます。しかし、ブラケットもワイヤーもあくまで平均的な歯並びを想定して製作されているため、まったくワイヤーを曲げないということはありません。よりよい治療結果を求めると、患者さんの顎や歯の形、大きさに合わせて細かなワイヤーベンディングを行う必要があります。
CT
設備面では、開業の2008年1月当時、矯正歯科医院としては非常に早い段階でCTを導入しました。大きな病院などに外注するのではなく院内に設置することで、患者さんの負担を軽減し、かつ迅速な診断が可能になりました。従来の2次元レントゲンに3次元のCTが加わることによって、いままで見えていなかったものが見えるようになり、分かりにくかったものが正確に認識できるようになりました。
2次元のレントゲンでは気づかずにいたリスクがクローズアップされるようになったため、診断が難しくなったように思えますが、正確な情報が増えることによって、治療前にリスクを把握し最適な治療計画を立てることができるようになりました。
プラークコントロール
治療途中のプラークコントロールは重要です。歯並びはきれいになっても、むし歯だらけになっては大変です。
そのため、歯みがき、間食、飲み物の指導が欠かせません。ワンタフトという小さな歯ブラシや染め出し液、フッ素のうがい剤などを用意しています。
時には口うるさく聞こえるかもしれませんが、矯正治療を通してプラークコントロールの重要性をご理解していただけたら幸いです。